• 西埜 啓 project1_member1_prof 片岡物産に入社以来、東京で2年、広島で3年、名古屋で2年、百貨店・一般量販店からカフェなどの業務店まで様々なお取引先への営業を経験し、2010年3月にトワイニング・ジャパンの商品開発担当に。英国トワイニング社とのやりとりも多いため、さらなる語学力向上を図るべく、日々勉強にも取り組んでいる。

創業300年以上の歴史を誇り、英国での紅茶文化浸透の原点になったとも言われる「トワイニング」。片岡物産は1965年から、このトワイニング紅茶の日本総代理店を務めてきたが、2007年に英国トワイニング社と共同でトワイニング・ジャパン株式会社を設立し、新たなマーケティング戦略の展開を始めた。
近年、大きく変わり始めた日本市場を新たな視点で分析し、品質の高さやアイテムの幅広さといった英国トワイニング社ならではの商品力と、片岡物産が築き上げた営業力がより一層活きる商品開発を行い、トワイニングのブランド価値や販売を再活性化する。西埜(にしの)がトワイニング・ジャパンの一員に加わったのは、そうした動きが本格化し始めた頃だった。商品開発担当となった西埜はまず、安定して人気を得ていたハーブ ティーのリニューアルを担当。このプロジェクトを通じて商品開発の実際を学ぶ。そしてこの仕事に目処がついてきた頃、次なる挑戦として取り組み始めたのが「ギフト市場」における新領域の開拓だった。
ギフト用途の販売をさらに広げるため、未開拓の「パーソナルギフト」に着目

今ではスーパーマーケットやコンビニエンスストアにも並び、日常的にお買い求めいただける商品となったトワイニング紅茶ですが、45年以上前に片岡物産が日本で展開し始めた頃は、お中元やお歳暮で贈る特別なものという色合いの商品でした。こうした贈答用途は現在もトワイニングの重要な市場であり続けていますが、その一方で近年、お中元・お歳暮という日本人の習慣薄れつつあることに私たちは危機感を抱き始めていました。
マーケットの縮小を止めるのは難しいものの、ただ成り行きに任せているわけにもいきません。そこで着目したのがギフトの未開拓領域への挑戦でした。ギフト市場にはお中元のような「シーズナルギフト」の他に、誕生日や結婚式、葬儀、母の日などの「パーソナルギフト」があり、トワイニングは実は、パーソナルの領域には本格的に参入していなかったのです。
未開拓領域への進出は、ビジネス拡大の大きな可能性を秘めています。しかし、すでに一定の市場が形成されている中に後発で参入して成功できるのか。そこで試験的にやってみようと考えたのが、結婚式で最後に手渡されるプチギフトでした。


今回完成したトワイニングの
プチギフト
晴れの場の最後に手渡されるギフトをもっと華やかなものにしたい

結婚式でのプチギフトに着目した一番のきっかけは、自分自身の経験です。知り合いの結婚式に出席した際、最後に手渡されるプチギフトが地味で、それまでの素晴らしい挙式や会食の印象を損なう場合がよくあることが気になっていました。そこでトワイニングの商品開発担当になったのを機に市場調査を行ってみたんです。
競合他社のプチギフトを色々と購入し分析したり、営業のツテを頼って挙式用ギフトの販売会社を訪れたり、結婚情報誌の編集長にヒアリングをしたりと色々調べました。そして見えてきたのが、プチギフトでも少しお金をかけて高級チョコレートブランドのドラジェのようなものを選ぶ方と、ノーブランドのお菓子などで済ます方に二極化していること。平均金額は1つ300円ほどで、このゾーンに知名度の高いブランドの商品がほとんどないこともわかりました。
一方、当社の営業ルートから見ても、ウエディング関連は有力な領域でした。引き出物やプチギフトなど結婚式で渡すものは式場が用意しているカタログから選ぶのが一般的で、そのカタログを提供しているのが大手百貨店など。片岡物産はお中元・お歳暮のカタログ販売で百貨店との付き合いが長く、営業のルートや手法をすでに築いていました。そうした総合的な観点から、パーソナルギフト市場へのトライアルとして「ウエディングのプチギフト」を選んだのです。


トワイニングのギフト
逆三角形という大胆なデザインを採用した「トワイニング フラワーブーケ」

ウエディングカタログのバイヤーに注目してもらうためには、トワイニングのブランド力だけでなく、パッケージを含めた商品自体の企画やインパクトも重要です。そこで市場調査を始めたのと同じ頃から、パッケージ会社や印刷会社に様々な形状のパッケージ案を出してコストを算出するとともに、デザイナーの選定にも着手しました。
斬新なアイデアが欲しかったので、これまでお付き合いのなかったデザイン会社の中から探し、会って話をした上で最も感性が合いそうだと感じて決めたのは、全員が女性デザイナーのとある1社。
パッケージの中に入れるものが三角のティーバッグなので「三角形のパッケージも良いのでは」と軽い気持ちで提案し、何度かやりとりを重ねるうちに「逆三角形が面白い」との話が出て最終的に決まったものです。そして花柄のデザインを施すことで花束にも見立てられることから「トワイニング フラワーブーケ」と名付けました。実は、トワイニング製品としては相当大胆な商品なのですが、英国本社の社長も「アトラクティブな形状が面白い」と言ってくれたのは嬉しかったですね。日本パッケージデザイン大賞(2013)で銅賞を受賞できたことも自信につながりました。
こうして商品を固める間にもバイヤーの方に見せて評価をもらったのですが、その段階から確かな手応えを感じていました。私も営業出身なので、相手が興味を持っているかどうかは感覚でわかります。「良いね、これ」と非常に好評で、最終的に私が希望していたカタログの多くにご採用いただくことができました。


ゲストへ感謝を込めて手渡される
プチギフト
販売が始まりあらためて知ったパーソナルギフト市場の幅広さ

ウエディング向け商品のカタログは、おおむね年1回、多くが年末頃に発行されます。「トワイニング フラワーブーケ」は、2011年暮れに発行される数社の2012年版カタログに掲載されました。売れ行きは、徐々に広がり年の後半を迎えて本格化してきたというところですが、意外な発見もありました。想定していたウエディング向け以外にも様々な場で使われていたのです。例えば、ママ友の集まりのお土産や、お稽古事の手土産、自動車ディーラーのイベント来場者へのプレゼントとしてご注文を受けたこともありました。
パーソナルギフト市場の可能性に確信を得て、今後も積極的に攻めることに決めました。これまでの1年はお中元・お歳暮で関係のあるカタログ販売に絞ってきましたが、この秋に開かれた片岡物産の営業担当者向け商品説明会で「フラワーブーケ」をあらためて紹介しました。認知度を高めることで、各営業マンが自分の担当エリアに戻って提案に力を注いでくれれば、また新しい用途も見つかるはずです。一方、私が今取り組んでいるのは、次のパーソナルギフト商品の開発。若い方たちにももっと使っていただける、魅力的なギフト商品を送り出していくつもりです。


中身もこだわりウェディングに
あわせたオリジナルブレンドに。


日本パッケージデザイン大賞の
トロフィーと楯と共に。